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2004/11/06

ディレクターズカット版よりオリジナル版が好き

旧作映画のDVD化が盛んだ。

そんな旧作の宣伝文句の多くが『ディレクターズカット』を謳っている。
ディレクターズカットってそんなに有難がる必要があるのかな?

たしかに作り手側はオリジナル版の公開にあたって不満があれば作り直したいという衝動にかられるのかもしれない。
だけど、私のように公開された当時のスタイルに思い入れが深かったりすると複雑な心境になってしまう。

音質や画質がアップすることは何とか許容できる。
しかし、ストーリーや構成そのものが公開当時とかけ離れたものになるのは、なかなか受け入れがたいものだ。

だが私のような考え方は今のところ少数派で、視聴者側も「ディレクターズカットこそ製作者が本当に伝えたかった物」として歓迎する勢力が多数派だ。

ディレクターズカットになることで作品のクオリティーは必ずしも向上していない。
むしろ映画の持つ緊張感やメッセージ性が薄れる場合があるのではないか?

個人的にオリジナル版の方が好きな作品を考えてみたい。

『ブレードランナー』
P.K.ディック原作「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」の映画化。
ハリソン・フォード主演。
超有名な映画なので内容説明は省くが、その後のSF映画に与えた影響は巨大で、近未来無国籍SFというジャンルを確立し、荒廃しきったバラ色ではない未来映像は鮮烈な印象をもたらした。
初公開当時はストーリーが難解で観客が感情移入しにくいということで主人公のハリソン・フォードのハードボイルド小説風のナレーションが加えられている。
アンドロイド特捜班という設定、追う者の非情さと追われる者の悲哀などが交じり合って、ナレーションがいい味わいを醸し出しているんです。
しかし、作り手側はそれが非常に不満だったらしく、とくにハリソン・フォードには不評だったらしい。

ブレードランナーは再販されるたびに“完全版”、“ディレクターズカット”と姿を変えていき、カットされた「残酷シーン」等が追加され、ついには公開当時の作品は製品化されなくなってしまった。
ユニコーンのシーンとか唐突に登場してくるのですが、何だか陳腐な印象しか残らないんですが・・・
ユニコーンに込めたメッセージはわかるんですけどね。
どうせ追加するなら“ふたつでじゅうぶんですよ”の謎が解明できるようにして欲しいものです。

本当に伝えたくない姿で作品を残したくない気持ちは理解できるんだけど、公開当時の内容に愛着を持っている私のようなファンも多いのでは?
今度DVDで発売するときはナレーション付きと無しのバージョンを選択できるようにしてほしいものです。
ワーナーさんお願いします。

『地獄の黙示録』
これも超有名なコッポラの映画。
ヘリでベトコンの村を強襲するシーンは何度見ても狂っている!
この映画も現在流通しているのはディレクターズカットだけじゃないのかな。
だけどこの映画こそディレクターズカットになって作品を台無しにしてしまった代表だと思う。
公開当時カットされたシーンを大幅に再導入したことで作品全体が異様なほど間延びしている。
オリジナル公開版がいかに研ぎ澄まされた作品だったのかが逆によくわかる結果となってしまっているのが興味深い。
余計なシーンを見せつけられたってファンは喜びませんよ。
映画はマニアのために存在するんじゃないのですから。

『ウッドストック』
伝説として語られることの多い1969年に3日間にわたって開催された音楽イベントのドキュメンタリー映画。
ドキュメントなので基本的にストーリーは無く、コンサートの準備段階から終幕までを出演ミュージシャンの演奏シーンを交えつつ、当時の世相や風俗を淡々と描いている。
ザ・フーやジミ・ヘンドリックスの緊張感あるステージは何回見直しても最高だ!
映像には登場しないがジャニス・ジョップリン等の大物も参加している。
当時はレコード会社間の権利問題などでオリジナル映像にはジャニスをはじめ多くのミュージシャンが登場することが不可能だったというのが真相のようだ。
優れたアーティストがレーベル間のしがらみで記録映画に登場しないというのは何とも不自然なことかもしれない。
しかし、1本の映画として『ウッドストック』を考えた場合、そんな問題は吹き飛んでしまう。

私はオリジナルの『ウッドストック』こそが完成形だと思う。
単なるコンサートの記録映像として観るなら現在発売されているディレクターズカット版の方が完成形に近いのかもしれない。
細かな部分までカバーしていますからね。
しかし、映像作品としての評価は別物じゃないのかな?
私はコンサートの詳細な実像が知りたいわけじゃない。
あくまでもザ・フーやジミ・ヘンドリックス等が出演していたウッドストックという“映画”を観たいんです。
コンサートの興奮や当時の熱気を極限までに絞り込んだ映画作品があれば満足なんです。
だらだらした映画は観たくないから。
オリジナル版の発売を検討してください。
(これもワーナーだ!!)

作り手側の一方的なディレクターズカット版のつきつけは、作り手側のエゴなんじゃないかな?
市場原理や視聴者に媚びることを強要しているんじゃありません。
そこんところ誤解しないで。

作り手にとっては不満だったかもしれないけれど、観る人にとっては「単なる過去の作品として片付けないで欲しい!」ってことを理解してほしい。
思い出にあんまり手を加えないで欲しいってだけなんです。
そして選択肢を残しておいて欲しい。

ディレクターズカットを販売することでオリジナルが観れなくなる悲劇を防いで欲しい。

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