血液型性格判断の嘘
あなたは占いが好きですか?
例えば「占星術」とか「姓名判断」とか「風水」なんてのも流行りましたね。
他にも「コーヒー占い」とか「人相」、「手相」とか様々な種類の“占い”がこの世には存在しますね。
古来には時の権力者が一国の命運を占いや信仰に委ねた時代もありました。
では、現代の日本ではどうなのでしょう?
昨今の日本国内の占い事情を鑑みると、ちょっと心配なことがあります。
なんで、「血液型性格判断」が一般市民の間で、ごく当たり前のように普及し定着してしまったのだろう。
しかも、かなりの影響力をもっている。
某民放の健康番組ですら血液型性格判断をテーマにすることがある。
「血液型性格判断」は占いの範疇を超えて、科学的なものとして扱われることがある。
これって問題じゃない?
そもそも血液に人間の性格や行動パターンを左右するだけの要素があるのだろうか?
まずは「血液型性格判断」のルーツを知る必要がある。
ABO式の血液型が人間の性格形成に影響を与えているという説が、日本では当たり前のことですが、医学的には全く根拠がありません。世界的にみても自分の血液型にこだわる民族は日本人くらいでしょう。
自分の血液型すら知らない人の方が世の中では大多数なんですよ。
「血液型性格判断」は日本独自のものなんです。
知ってましたか?
これだけでインチキ臭くなってきたでしょ?
ちょっと説明しますと、
明治維新後の文明開化により様々な西洋文化が日本に取り入れられました。
そんな西洋から齎された風俗の一つに占いがありました。西洋占星術やトランプ占いなどがそうです。
一大ブームを築くことはありませんでしたが、西洋占星術は婦女子を中心に定着しました。
そうすると星座占いの解説本が出版され小銭を稼いだ方々もいたようです。
そこに目を付けたのが‘古川竹二’なる怪しい人物。
日本にも伝統的な易学がありましたが、直接占い師や霊媒の元に出向き宣託をいただくという仰々しいもので手軽なものではなかったんですね。
古川は人々がオカルトや神秘的なことに強い興味を持っており、それの関連商品を出すことで商売として成立することを利用して自分も成功したいと考えました。
ありきたりなものを題材にしては世の関心を集めませんので、古川は西洋にも東洋にもない占いを“新たに考案する必要”に駆られました。
古川が悩んだ末に発表したのが『血液型気質相関説』という説です。
その説がどのくらい世間に受け入れられたのか当時の様子を知ることは出来ません。
しかし、はっきりしていることは、血液型性格判断というのは、
『お金もうけに必死だった古川竹二が付け焼き刃に考案した学説』ということ。
現在にいたる血液型性格判断の基礎が築かれたのは昭和40年代のことです。
能見正比古・俊賢親子という輩がカビの生え忘れ去られようとしていた「血液型気質相関説」を『血液型性格学』とか『血液型人間学』とかいう名称で現代に復活させたのです。
さも、学術的根拠があるかのごとく“学”という文字を使用して。
大村政男という大学教授が約200名の女子大生を対象にある実験をしたことがあります。
能見の書籍から各血液の特徴を書き出し、女子大生にどの程度当たっているか判断してもらったのです。
ただし、O型をA型に、A型をB型に、B型をAB型に、AB型をO型に、シャッフルした状態で。
結果は8割~9割の学生が「当たっている」と納得しました。
自分の血液型と全く違う血液型のコメントなのにですよ?
いいかげんですよね。
大村政男氏によれば『血液型性格判断』には大きなトリックがあると指摘しています。
(1)フリーサイズ効果
各血液型の特徴とされている性格はその血液だけのものではない。フリーサイズのTシャツのようなものでどの血液型にも当てはまる。
(2)ラベリング効果
誰にでもある性格に、A型、B型、O型、AB型というラベルをつけると、その血液型に固有の特徴と思い込んでしまう。
(3)インプリンティング効果
A型の特徴はこれだ!といわれると、それが心の中に刷り込まれてしまい、半永久的に忘れられないものになってしまう。
どうです?
ここまで読んでもまだ『血液型性格判断』を信じるのですか?
西洋の占星術や中国の易学などは真偽のほどはさておき、永い膨大な年月を駆使して完成されてきたものであり、統計学的な要素も強いと言われています。
実際に今日の天文学とかの基盤を築いたわけですからね。
一概に占いだからインチキとは言いきれない位の価値と説得力があります。
それに占いというものは本来は利益を上げるために存在するのではなく、迷っている人を導くためのものであってほしいです。
しかし『血液型性格判断』の場合は根本から間違っている!
最初っから商売っ気丸出しの、銭金至上主義の日本人実業家が考案したものなんですから。
そんなものに躍らされる国民もどうかと思いますが。
単なる遊び感覚で血液型を話題にするならいいです。
だけど、実社会の重要な決定事項を下す場面においても血液型を考慮する企業とか組織があると話しは別。
黙ってられねーよ!
実際に私の地元の、ある大手の建設会社では採用や職員配置の際に、血液型を重要視しているという噂がある。
他にもこんな会社あるんでしょうか?
薄気味悪い話ですよね。
生まれ持った自身の血液によって待遇が差別されるんですから。
人種差別や部落差別と似たような問題だと思うのですよ。
だって特定の民族や人種だとか、ある特定の地域やその出身者の身内ってだけで差別しているのと変わりないじゃないですか!
前近代的すぎますよ。
だいたい、血液ってのは人間の体に必要な酸素と栄養分を全身に運ぶのが主たる目的の液体なんです。
皆さん知ってるでしょ?
そんな液体に人間の性格や気質を作用するだけのパワーがあるわけ無いじゃないですか!
21世紀は『血液型性格判断』という名の『血液型差別』をこの地上から葬り去る世紀にしましょう。
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コメント
血液型で性格云々は『詐欺の手法と同じじゃないか』と常々思っていました。
フリーサイズ効果を自覚出来ない馬鹿が日本人に多いのは非常に残念ですね。
SWAN氏のルーツ探索、お疲れ様でした。
投稿: 激しく同意 | 2009/01/29 23:07