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2005/03/14

捕まった宇宙人 ~楳図かずお的展開~

ebe

味覚糖の食玩「七不思議編」より

 幼い頃に見た不可思議な映像、恐ろしい映像というものは、どんなに大人になっても忘れ去ることは不可能だ。
 むしろ、年齢を重ねるにつれ、より一層鮮明な画像として甦り、私を恐怖の底なし沼へと誘うのだ。
 そのような忘れようと思っても脳裏から消し去ることの出来ない、私にとってのトラウマ映像について考えてみたい。
 今回紹介したのは世界的に有名?な、

『捕まった宇宙人』という写真だ。
 たしか私が小学校の低学年の頃に、児童向けの入門シリーズの挿絵で見たように記憶している。
 小学館から発売されていた円盤とか宇宙人を扱った本だったと思う。

 それはモノクロのとても粒子の粗い写真だった。
 写真の中の雰囲気は戦前もしくは戦後間もない頃か?
 トレンチコートを着た白人男性二人に、両脇から腕をつかまれている異様に小さな“人”が写っていた。
 その周囲を物々しげに大勢の野次馬が取り巻いている。

 宇宙人とされる“人”は背丈が男達の股下ぐらいまでしかなく、衣服のようなものは着ていないようだ。
 つまり裸か?

 地球人を大きな瞳で下から見上げるその仕草が哀れを感じさせた。

 ことの真偽はともかく、気持ち悪い映像であることには変わりない。
 児童の深層心理のトラウマとなるには十分すぎるくらい強烈なインパクトを持っている。

 私は成長するとともに、その『捕まった宇宙人』について多くの情報を得ることになる。
謎を深める情報としては、

“宇宙人を捕まえたのはCIAのエージェント”
“CIAではなくKGBである”
“米軍の秘密基地に連行された”
“数時間後にドロドロに溶けて死んでしまった”

と、いうような話は写真のリアリティを高めるのに大きな効果を与えた。

 逆に否定的な情報として代表的なものとして、
 “全身の体毛を剃り落とされた裸のサル”
 という説が有名であり、広く一般に浸透している。
 つまり、『捕まった宇宙人写真』はインチキであり、世紀の捏造写真だというものだ。

 ここで私は写真の真偽をとやかく言うつもりは無い。
 だが、あえて言わせてもらうならば、「猿」ではないと思っている。

 説明しようが無いのだけど、私にとっては永遠に「宇宙人」なのだ。
 地球人に捕まって、溶けて死んだ哀れな「宇宙人」なのだ。

 全くジャンルは違うのだが、『捕まった宇宙』をテーマにして製作された映画に、デヴィッド・ボウイが主演した“地球に落ちてきた男”という作品がある。
 ボウイファン以外は恐らく観賞しないと思われる、ダルイ感覚のアシッド・ムービーだ。
 ボウイ演ずる宇宙人はある目的を持って地球に飛来するのだが、任務を遂行することは叶わず、おまけに故郷の星に帰還することもできなくなってしまう。
 ボウイがとても可哀想でいたたまれなくなる。

 「だけどこの映画、どこかで観たことがある・・・・」私は直感した。
 忘れかけていた記憶の断片が手繰り寄せられ、トラウマとなって私に襲い掛かる。
 幼い頃に観た『捕まった宇宙人』の写真は気持ち悪いし、不気味だし、到底感情移入する余地の無い映像だ。
 しかし、私の記憶の根底に、居座り続ける理由が最近わかってきた。
 とても簡単な理屈だ。
 一言で説明がつく。

 そのキーワードは“可哀想”
 私は自慢するほどではないが涙腺が弱い。
 動物ものドキュメンタリー等にはめっぽう弱い。
 だから感動を売り物にしているドラマや映画、小説には触れないようにしているくらいだ。
 これは事実である。

 何をしに来たかはわからないけれど、地球人に捕まってしまった哀れな宇宙人。
 任務を全うすることができずに不本意な宇宙人。
 挙句の果てに見知らぬ星で命を落とした宇宙人。
 故郷で無事に帰還することを願う宇宙人の家族達。

 こんなに悲しいプロットはそうそう無いと思うのだが・・・
 生理的な恐怖の中に、幼い頃の人間のみが含有する切なさを描いている楳図かずお的世界がそこには存在する。
 『わたしは真悟』の“東京タワーのシーン”や、『小さな恋のメロディ』にシンパシーを感じることができる人ならなんとなくわかるはずだ。

 トロッコを漕いでメロディ達が行き着く果てを想像してはならないでしょ?
 それ同じ理由で、『捕まった宇宙人』の写真を詮索することは私にとっての最大のタブーなのだ。

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