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2005/04/17

マラドーナの言葉

 誰もが知っているサッカーの“元スーパースター”、“アルゼンチンの英雄”、“Buenos Airesの天才”ディエゴ・マラドーナ(Digeo Maradona)

 彼がサッカープレイヤーとして、他の追随を許さない不世出の存在であることは、疑いようの無い事実である。

 そして今もなお、巨大な存在として現世に君臨している。

 そんな“神の子”マラドーナはプレイだけにとどまらず、発言においてもメディア等をとおして多大すぎる影響力を持っている。

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 マラドーナの発言は何かと物議を醸すことの多いのが最近の傾向だが、私はマラドーナの発言に胸を揺さぶられた経験がある。

 コカインの常習癖や異常な肥満症状とか、最近のマラドーナはネガティブなイメージが浸透しているのが現実である。
 残念なことであるけれども。

 マラドーナが全盛期だった80年代頃を知らない子供や、にわかサッカーファンにすれば、ただの超肥満体のオッサンだけなのかもしれない。

 だけど忘れないで欲しい。

 現在はサッカーとは無縁の話題・スキャンダルが先行してしまうマラドーナだが、彼はあくまでサッカー選手としては超天才であり、カリスマを持った男なのだ。

    Maradona_10_3

 ペレは優秀な選手だけれども天才ではない。
 独創的なプレイや印象に残る試合、キャリア全般をとおしての獲得タイトルなどはマラドーナと比べてもズバ抜けて多いし、世間的な評価も悪いイメージを持つ人は少ない。

 対するマラドーナは輝かしいキャリアを持ちながらもペレと見比べると見劣りされてしまう。
 引退後の言動が主な原因であるのなら、こんなに馬鹿馬鹿しいことはない。

 サッカー界においてマラドーナは『唯一絶対神』なのだ。
 森羅万象、宇宙全体の支配者なのだ。

 だからこそ彼以外のサッカー選手はマラドーナにひれ伏し、彼を崇め、奉ったのだった。
 “神の子”という表現が全てを物語っているではないか!

     Maradona_17

 ペレは「人間界」のサッカーの支配者にはなった。
 現在でも世界にサッカー文化を浸透させる為に奔走している。

 ペレの熱意ある活動に対しては本当に感服するしかないし、絶賛してしかるべきだと思う。
 飛躍した発想かもしれないけれど、ペレはノーベル平和賞を受賞するに値すると思う。

 だけどペレは人間界サッカーの君主ではあるが、神話として語られる存在かといえば疑問が残る。

 もしサッカーの神というものが存在し、サッカー神話というものが体系づけられるとしよう。

 ペレはサッカーの教えを世界の果てにまで伝道することを使命とする伝道師。
 サッカー神の言葉を地上に流布するためにつかわされた預言者といったところか?
 死後はサッカー界において「聖人」の称号が贈られることでしょう。

     Maradona_11

 マラドーナが聖人と呼ばれることは無いでしょう。
 まったくもって世間の常識から逸脱したマラドーナの言動をペレと同じ次元で評価すること自体が無意味だ。
 マラドーナはサッカー神が地上に授けてくれた唯一の“神の子”なんだから。

 ペレは“サッカーの王様”
 マラドーナは“神の子”

maradona111

 アルゼンチンがワールドカップ南米予選で苦戦していたことがあった。
 1994年アメリカ大会の予選の時だった。

 大げさでなく予選敗退の危険性が高まってしまい、アルゼンチン国内は大騒ぎになった。
 本大会に出場できないというのは、アルゼンチンにとって国家の存亡にも値する一大事だ。
 サッカーが全てではないけれど、サッカーの持つ意味は大きい。

 当時のアルゼンチン大統領は代表チームの編成に介入し、ある要求を出した。
 それは『マラドーナを代表チームに招集すること』だった。

 当時のマラドーナは、全盛期はとうの昔に過ぎ去り、たまに慈善試合やエキシビジョンに顔を出す程度だった。

 しかし大統領を含めてアルゼンチン国民はマラドーナに期待した。
 代表チームもマラドーナを受け入れた。

 マラドーナは既にだぶつき始めていた肉体を見事に引き締めて帰ってきた
 表情も精悍さを取り戻し、サッカー神話における“荒ぶる神”といった面持ちだった。

   Maradona_31

 マラドーナのおかげもあってアルゼンチンはなんとか予選突破。
 サッカー先進国の面目丸つぶれのヘロヘロの状態。

 そしてアメリカでの本大会。
 過去にコカイン常習癖のあるマラドーナを入国させるかどうかでひと悶着あったが無事に入国。

 予選リーグ第1戦からアルゼンチンはギリシア相手に圧勝!
 マラドーナもゴールを決めて全開状態!

 「俺は信じていたよマラドーナ!」と私は心の中で感動の涙を流した。

 だがしかし!
 更に私を感動させてくれる事件が起きてしまう。

 序盤を順調に乗り切ったかのように見えたアルゼンチンだったが、快速FWのカニーヒアが怪我のため戦列を離れてしまう。
 バティら若手も揃っているが、経験と才能に満ち溢れたマラドーナにかかる負担が大きくなるなと考えていた瞬間、とんでもないニュースが飛び込んできた。

   Maradona_12

 『マラドーナ、禁止薬物使用が発覚。大会から追放処分』
 なんなの、これ?
 耳を疑った。

 忘れてしまったけど、何とかっていう興奮剤が検出されたらしかった。

 プレスに囲まれ“尋問”されるマラドーナ。
 容赦ない質問というか、問題発言を引き出そうとする悪意ある意図を含んだ言葉責めに晒されていた。
 “神の子”に対するあまりにも酷い仕打ちに私は激しい怒りを覚えた。
 同時に深い悲しみも感じた。

 私が感じた悲しみは、薬物を使用したことを残念に思う気持ちではない。
 こんなことでマラドーナが大会から去ってしまうことが悲しかったのだ。

 『たぶん世界レベルの大会で選手としてのマラドーナを観るのはこれが最後だな・・・』と思うと感慨深いものがあった。

 しかしマラドーナはやはり“神の子”だった。

 落胆しきってしまった私を奮い立たせる言葉をマラドーナは語りかけてくれた。
 なんで、薬物を使用したのかについてだ。

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(Koreaのdirty play unfair!)

 こんなニュアンスだったと記憶している。
 『苦しんでいる代表チームから救いを求められたのは非常に嬉しかった。しかし私の体は実戦から遠ざかっており、高いレベルの要求に応えられる状態じゃなかった。デブのマラドーナを皆に見せたくなかったから。』

 デブの身体を晒したくない!

 なんというプライド!
 なんという自身の存在価値を知り尽くした上でのコメント。

 マラドーナが本当にサッカーという「教義」における唯一絶対神になった瞬間だった。

 “神の手ゴール”“5人抜き”もマラドーナが起こした数多くの奇跡の中のひとつでしかない。

 マラドーナの真の価値を顕す『デブのマラドーナを見せたくない』という発言の前には、どんな奇跡のプレイも霞んでしまうのだ。

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» ☆ 爆発下準備 ☆ [☆☆☆「神崎じい」のエリザベス・マーチ☆☆☆]
☆室井佑月プロジェクトに参加されると思われる方々へ、わしからのちょっとした提案で [続きを読む]

受信: 2005/04/17 23:44

» 使っちゃダメ!! [ROSARIO −ロザリオ−]
18日、マラドーナが(44)テレビ番組でこう↓言ったらしい。 「コカインを使っても得はなかった。得したのはライバル。今でも朝起きたら『使っちゃダメだ』と言い聞かせている」 相変わらず面白いコメントだねェ〜マラドーナ君 朝起きたら『使っちゃダメだ』か....... [続きを読む]

受信: 2005/10/20 19:55

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