サイボーグ009で燃えろ!
作者の思い入れも強い作品だと思います。
009はかなり長い期間に渡って、掲載誌を替えながら発表され続けた作品です。
少年キングや少年マガジン。
少年サンデーやマンガ少年。
青年誌でも連載されたかな?
当然のことですが、009は描かれた年代によって作風が微妙に異なります。
特に絵の「線」が違います。
石森章太郎は元々、絵の上手い漫画家です。
多くの漫画家が年月を重ねるごとに画力が「枯れて」いくのに対して、石森章太郎は最後まで技術が向上し続けた、数少ない漫画家だと私は思います。
幾つかの年代の異なるバージョンの009が存在しますが、一般的にサイボーグ009といえば秋田書店から発売されていた、サンデーコミックス版(全15巻)を指すのではないのでしょうか?
しかも、コアな009マニアにとっての009はサンデーコミックスの6巻目で完結しているといっていいでしょう。
つまり“地下帝国ヨミ編”で終わったということになっているみたいです。
あまりにも有名なシーンなので細かい説明は端折りますが、成層圏で黒い幽霊団(ブラックゴースト)の首領の魔神像を破壊した009と、009を救出に来た002とが抱き合いながら大気圏に突入し燃え上がるアレですよ!
002
「ジョウ、君はどこに落ちたい?」
燃え尽きる瞬間2人は流星となります。
地上からその流星を眺める姉と弟。
姉
「カズちゃん何をお願いしたの?」
カズ
「エヘヘ おもちゃのライフル銃が欲しいってさ」
姉
「まあ!あきれた」
カズ
「お姉ちゃんは?」
姉
「世界から戦争が無くなりますように 世界中の人たちが幸せになりますようにって・・・・」
・・・・・・・感動の嵐だ!!!
最も感動的なラストシーンです!
泣かずにはいられるか!
これだけ感動のラストシーンを演出したのだから、作者は“ヨミ編”で連載を終了させるつもりだったはずです。
しかし!
どういうわけか009は復活します。
7巻以降の009は物凄く絵が緻密です。
もしかしたらゴルゴ13とか子連れ狼なんかの、劇画ブームの影響もあったのでしょうか?
それまでの手塚治虫系統の柔らかいタッチは影を潜めて、リアルで細密な描写が増加しているのです。
早熟の天才だけあって時流には敏感だったのですかね。
余談ですがサイボーグ009の構想は、発表された時期よりも、10年近く前から石森章太郎は抱いていたと伝えられています。
なんで発表を遅らしたのか?
一説には『サイボーグ』という概念が、その当時の日本では一般に浸透していなかったからだといいます。
石森章太郎自身はかなりのSFマニアで、海外のSFを読み漁っていたそうです。
自然に石森はサイボーグという言葉に馴染んだそうです。
自分の作品で『サイボーグ』という設定を使いたくてウズウズしていましたが、日本人のSFレベルが幼稚な段階で発表すると、009がコケると計算したというのです。
『サイボーグ009』が発表された背景には、日本人のSF観に対する石森章太郎のお墨付きがついた瞬間でもあったのですね。
『サイボーグ009』の主人公009こと島村ジョウは、なんでヒーローであり続けることができるのか?
ゼロゼロナンバーサイボーグの中で最強なのは言うまでもありません。
しかし009のヒーローたる所以は、強さやかっこよさだけじゃないのです。
それは何か?
それは“やさしさ”と“甘さ”なのです。
敵と対峙している瞬間であっても、009は非情になりきれない。
呆れてしまうほど自分に厳しく他者に甘い。
それが如実に現れているのが、コミックス4巻の“ミュートスサイボーグ編”です。
ミュートスサイボーグ達は最新型。
試作品である009達の能力を遥かに凌駕しています。
これも作品中の有名なシーンです。
スーパーガンを手に至近距離で向き合う009とアポロン。
アポロン
「この距離で撃ちあえば相打ちだ」
「武器に使わず本来の能力で勝負しないか?」
009はアポロンの申し出に素直に応じます。
お互いに能力を披露しあってから戦おうということになりますが・・・・
アポロンは全身から高熱を発し、手のひらや指先から熱線を発射してみせます。
勿論、加速装置も標準装備!
アポロン
「これが僕の能力だ 君の能力も見せてくれ」
「まさか加速装置だけじゃないだろ?」
009に内蔵された武器なぞありません。
009はアポロンに答えます。
「あとは・・・ 勇気だけだ!」
くーーー!!! しびれますね~
009が永遠不滅のヒーローになった瞬間です!
ミュートスサイボーグに対し、圧倒的不利なのにも関わらず敵の要求をのむとは!
なんという勇気か・・・
恐怖を克服することが即ち勇気なんですね。
ヒーローにとっての最強の武器は、いつの時代も勇気なんです!
サイボーグ009は私や多くの人に愛と勇気を与えてくれた。
普通のヒーローと009の最大の違い。
それは「覚悟」の大きさの違いなのでしょう・・・
“男が男に惚れる”ってことの意味がわかったような気がする。
サイボーグ009の美学を満喫したいのなら、迷わず秋田書店のサンデーコミックス1巻~6巻を読んでください!
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