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2006/01/31

サイボーグ戦士、誰がために闘う

反戦漫画の金字塔こそ、石森章太郎の『サイボーグ009』!

サイボーグ戦士は何の為に戦うのか?

サイボーグ戦士は誰と戦っているのか?

    cyborg_009_005

サイボーグ戦士はなぜ戦い続けるのか?

サイボーグ009達の戦いは終わらない。

この世に戦争が続く限り。

戦争で儲ける人間がいる限り。

サイボーグ戦士に安息の日は訪れない。

サイボーグ戦士の生きている作品世界と、実際の世界情勢は驚くほど酷似している。

なぜか?

戦争を提供し、戦火が拡大することでしか存在意義を見出せない集団がのさばっているからだ。

サイボーグ009の世界では、それらの邪悪な集団を「黒い幽霊団」という設定で表現している。

「黒い幽霊団」とは、世界各国の兵器製造企業が資金を提供し合って作り上げた、〝ニンゲンノ ミニクイ ヨクボウガ ウミダシタ カイブツ“なのである。

サイボーグ戦士たちが戦っている相手「黒い幽霊団」は荒唐無稽な空想の産物ではない。

現実に私達の世界を縛り付けている社会の支配構造そのものなのだ。

戦争という人類最悪の犯罪を利用し、利益を追求している巨大企業体が、地上で唯一の超大国といわれる国家の世界戦略に大きすぎる影響を持っている。

いや、国そのものが巨大企業なのかもしれない。

超大国とは?

もちろんアメリカ合衆国のことである。

巨大企業体とは?

いわゆる軍産複合体のことである。

アメリカは国家創立以来、ひたすら戦争に明け暮れてきた。

戦争で市場経済を活性化するために外交戦略をしているといっても過言ではない。

アメリカが軍産複合体を必要としているのではなく、軍産複合体そのものがアメリカなのだ。

戦争が犯罪行為であることは疑いようがない。

肯定できる戦争などは存在しない。

しかし、敢えて止むを得ない戦争があると仮定してみよう。

回避不可能な戦争があったとしよう。

軍事大国による侵略に抵抗しなければならない事態があると仮定しよう。

しかしながら、アメリカに止むを得ない戦争という概念が当てはまるのだろうか?

現在アメリカが行っている戦争は止むを得ない戦争なのか?

アメリカが過去に行った戦争は不可避だったのか?

アメリカの戦争は正義なのか?

アメリカを侵略できる国なんて地球上に存在するのか?

現在の国際情勢で、アメリカを巻き込むような世界戦争が勃発する可能性は、はっきりいってゼロ。

国家の存亡をかけてまで、軍事力でアメリカに挑む国家など存在しない。

しかし、アメリカは何かに怯えている。

何にそんなに怯えるのか?

他国の軍事的脅威に晒されることを恐れているのではない。

アメリカが最も恐れること、

それは・・・・

“平和”

戦争でしか国家のビジョンを組み立てられないアメリカにとって、平和こそが脅威なのだ。

具体的に考えてみよう。

アメリカは常に仮想敵国を国民に示し、国民の恐怖を煽り、愛国心を高揚させ続けてきた。

かつてはソビエトを中心とした共産主義国家。

現在ではイスラム勢力か。

“アメリカは常に外的から狙われているのです!”

恐怖に駆られた人間は安易に暴力によって打開策を求める傾向がある。

アメリカ国民は非常に闘争的な愛国心によって、団結させられている。

過剰な愛国心は軍事力の強化につながる。

そしてアメリカの市場経済原理主義。

アメリカは世界最大の兵器輸出国である。

国内には有数の軍需産業を抱え込んでいるのだ。

ボーイングやロッキード、GEといった巨大企業は常日頃から〝新製品〟の開発に余念が無い。

如何に効率よく人間を殺傷できるかを日々研究しているのだ。

研究すればするだけ、努力の成果として新兵器が生み出される。

既に配備されている兵器はまだまだ使用可能なのに、型落ちの旧式となる。

つまり「余剰物資」になってしまうのだ。

余剰物資で終わらせてしまうのは勿体ないことだと偉い人は考える。

捨てるのなら是非とも敵に向かって使ってみたいものだと軍人は考える。

新兵器は誰だってその威力を実戦で試してみたい。研究者だって、政治家だって。

心血を注いで開発した新兵器なんだから、開発費も莫大だ。

新兵器は是非とも政府から買い上げてもらわないと困ってしまう。

政府で購入しきれない分は、お得意様を大統領の責任で探す(作る)しかない。

合衆国大統領の大事な務めだ。

愛国心と暴力的衝動に駆りたてられたアメリカ国民のテンションを維持するという、容易ではない作業も大統領の重要な役割だ。

なぜって?

いくら国民の警戒心を煽っても、現在のアメリカに軍事力で挑もうとする国は存在しないのだから。

では、どうすればいい?

アメリカ国民の過剰な愛国心をキープし、闘争心の根源となる憎悪を高めるために最適な、邪悪で醜悪なキャラクターを作ってしまえばいい。

悪の軍団を、自由と民主主義の伝道者、世界の警察である正義のアメリカが倒すという勧善懲悪のシナリオを完成させればいい。

しかしながら、戦争ばかりが続くと国民の熱狂も下火になる。民衆とは飽きっぽいものなのだ。

ある程度の暴力を満喫すれば食傷気味になるのが必定。

だけど武器庫には兵器が山ほど積まれている。

兵器の在庫一層セールはどうする?

自分達が血を流す戦争は国民の支持を得られにくい。けしからんことに、戦争反対を訴える輩や、愛国者を愚弄する勢力も多い。

戦争を続けるのは大変なのだ。

たしかに、自分達が傷つくことは誰だって嫌なのだ。

どこの国民だって、傷つくことは避けたいけれど、アメリカ国民は特にその性質が強い。

だったら、自分達が傷つくことの無い戦争をすればいい。国民の支持も得やすいだろう。

どうすればいい?

都合のいいことに、アメリカ国民は海外で起こっている出来事には、驚くほど興味を持っていないという習性がある。

FOXをはじめとするメディアのおかげで、アメリカにとって都合の悪いニュースは報道されないという、便利なシステムも完成している。

戦争がなければ戦争そのものを輸出すればいい。

国民に気付かれないように・・・・

3世界の小国に戦争を輸出するのだ。

戦争の素晴らしさと、アメリカ製兵器の優秀さを教えてやるのだ。

戦争に勝ち残った勢力がアメリカの同盟国になるかもしれない。

アメリカ製品をたくさん売りつけても文句の言えないお得意様になるかもしれない。

勿論、その国の軍隊ではアメリカ企業の兵器が正式採用されるはずなのだから・・・・

こんなことしたって大丈夫。

アメリカ国民は外国のことに興味なんか示さないさ。

戦争は勃発するのではない。

死の商人の利益追求のために意図的に世論を操作し、引き起こされているのが現実。

      cyborg_009_004

サイボーグたちが存在した世界は既に現実なのです。

自分達の儲けの為に世界中で戦争を煽る集団・・・・

サイボーグ009に登場する「黒い幽霊団」とアメリカ合衆国のどこに違いを見つけることが出来るのか?

恐ろしいほどソックリじゃないか。

“ヨミ編”の最終話で、009に「黒い幽霊団」の首領である3体の脳みそは語りかける。

 オマエハ ワタシヲ タオスコトハ デキナイ ナゼナラ ブラックゴーストハ オマエタチ ニンゲンノ ミニクイ ヨクボウガ ウミダシタ モンスター ダカラダ ワタシヲ タオスナラバ セカイジュウノ ニンゲンヲ ヒトリノコラズ コロサナケレバ  ナラナイ ワタシハ ブラックゴーストノ サイボウノ ヒトツデシカナイ タトエ ワタシガ オマエニ タオサレテモ ニンゲンガ ソンザイスルカギリ アラタナ サイボウノ ヒトツガ スグニ フッカツスルノダ 〟

なんという救いの無い設定でしょうか・・・・

サイボーグ009の戦いは無駄だったのでしょうか?

軍産複合体による世界支配の構造は、あまりにも狡猾で、想像以上に完成されたものになっています。

009の作品世界を超越してしまっているのかもしれません。

たしかにアメリカ一国の社会体制が変われば解決できる問題ではありません。

しかし、何もしなければ、人類は確実に破滅へと歩み続けるだけなのです。

少しでも平和に近づくためには、世界で最も影響力のあるアメリカという国家に、変化を求めなければなりません。

そのために、アメリカの真実・アメリカの犯罪・アメリカのありとあらゆる現実を搾り出すのです。

自浄作用が生まれるのはその後なのです。

ゼロゼロナンバーのサイボーグ戦士の戦いは、現実社会の我々が継続させなければならない。

サイボーグ戦士は孤独に喘ぎながらも、己の運命を受け入れ、巨大な悪と戦い続けましたではないですか。

「黒い幽霊団」から“ちっぽけな善”と蔑まれながらも。

『人間であって、人間ではない』サイボーグ故に、彼らは社会の真実を見極めたのかもしれません。

サイボーグ戦士たちは人間社会から拒絶され、孤独でした。

だけど、現実に存在する私達〝ちっぽけな善〟は孤独ではありません。

009にはなれないけれど、009の問いかけを受け止めることは可能です。

〝ちっぽけな善〟であることを誇りとしましょう。

ちっぽけな善が集結すれば〝大きな善〟になるでしょ?

大きな善なら悪者達も無視できないですよ。

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受信: 2006/02/08 23:19

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