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2006/02/24

BENNY“the JET”YRQUIDEZ

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 『四角いジャングル』というマンガが好きだ。

 昭和50年代に少年マガジンで連載され、全国の格闘技マニアをのめりこませたのだ。

 当然の如く、原作は梶原一騎先生!

 おそらく史上初の「実録同時進行格闘マンガ」と思われる。なぜ、史上初なのかというと、現実世界の格闘技界とタイムリーにリンクしながら、ストーリーが進行していくのだ。

 登場人物は勿論、全員が実在の人物です!

 マス大山、大山茂、ウィリー・ウィリアムス、アントニオ猪木、ムハマド・アリ、藤原敏男、黒崎健時といった格闘技界のVIPが勢ぞろいしている。

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 ストーリーの根幹は、格闘技世界一を標榜するアントニオ猪木と、「熊殺し」ウィリーの対戦が実現するまでを追跡することにある。

 ドキュメント形式というのがコンセプトなので、現実離れした超人的なキャラクターなどは登場しない。日本キック界とマーシャルアーツの対決。新日本プロレスと極真会館との対立。新格闘術のムエタイへの挑戦。本当に存在するファイター達の戦いを「忠実に」再現した、ハードボイルドなリアル志向の劇画なのである。

 しかし、現実世界とのリンクを追及するあまり、中盤以降は息切れしてしまったのか、変なキャラクターを乱立させるという失敗がありましたが、許してあげましょう。

 最大の失敗作は、謎の覆面空手マン「ミスターX」以外に考えられません。

 マンガの中では猪木とウィリーの対決に割り込んでくる、全米プロ空手協会が送り込んだ刺客でかなりの実力者という設定でした。あまりにも凶暴な性格で、対戦相手をリング上で殺害してしまったこともあり、戦績のほとんどを反則負けが占めるという、超凶暴カラテマンという触れ込みが強烈過ぎました。

 そして現実世界で猪木とミスターXの対戦をついに迎えたのだが・・・・

 ミスターX弱すぎ!

 マンガと同じなのは覆面していることだけ。帯の結び方も知らないらしく、胸の付近に帯を巻いていた。体型はブヨブヨに太ったおじさん体型。普通の太った黒人のおじさんにマスクと道着を着用させてリングに立たせただけなのでした。

 空手らしい技はひとつも披露できません。何の見せ場も無く猪木にいたぶられて終わりです。

 マンガでさんざん煽っておいての結果ですから、全国の善良な少年少女は夢を壊され、心臓が握り潰されんばかりのショックを受けたものでした。人間不信に陥った子供が大勢いたことでしょう。

 では、『四角いジャングル』の最大の功績はなんだったのか?

 “怪鳥”ベニー‹ザ・ジェット›ユキーデをプロデュースしたことだったのだろうと思う。

 BENNY“the JET”YRQUIDEZ

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 当時の日本では、タイ式ボクシングというものは認知されていたが、全米プロ空手いわゆる‘マーシャル・アーツ’という競技は一般的には未知のものであった。

 そんな状況の中、プロ空手を認知させ定着を図る為に『四角いジャングル』が生み出したスターがベニー・ユキーデだったのである。

 未知のスポーツを社会に定着させるには絶対的なスターの存在は不可欠だ。戦後のプロレスにおける力道山がそうである。

 しつこいぐらいに『四角いジャングル』はベニー・ユキーデの実力をアピールした。本当にしつこいくらいに。

 マンガの中に登場するベニーは端整な顔立ちで、日本人が見たことも無いような空中殺法で連戦連勝。プロ空手の中でも屈指の実力者として描かれていたが・・・・

 ついにベニー・ユキーデ来日!

 顔の好みはともかく、本当に強いのか?

 岡尾国光をプロボクサーばりのパンチのコンビネーションでKO!

 内藤武士へはボディーにバック・スピンキックを炸裂させ悶絶KO

 大貫忍をヴェトナム・ホイップというスープレックスでブン投げKO

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 本当に強かったです。ユキーデは。

 赤いパンタロンが目に眩しかったですね~

 まさしく“リングの赤い蝶”

 創成期のマーシャル・アーツを支えたヒーローだったのです。

 おそらく、日本格闘議会にとって初めてのアイドル格闘家だったと思います。

 飛び後ろ回し蹴り(いわゆるローリング・ソバット)を多用するファイトスタイルが派手で私も魅了されましたね。

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 『四角いジャングル』は猪木VSウィリー戦への布石がメインである以上、ユキーデの位置づけは残念ながら脇役です。だけど、それなりにユキーデが中心となるストーリーも用意されていました。

 衝撃的な日本登場の後、ムエタイの強豪シーソンポップとの戦いで初の挫折。ムエタイへのリベンジを狙うが体調を崩し実現できず。トレーナーである兄との決別。立ち技のライト級真の世界一をかけて藤原敏男と対決することを目指すがついに幻の対戦で終わる・・・・

 『四角いジャングル』は映画されていて、今でもDVDが販売されています。

 格闘技の醍醐味?

 マーシャル・アーツの凄さ?

 それを知りたきゃベニー・ユキーデのファイトを見ればいい。

 キックボクシングの魅力は「スピード」なのです。

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コメント

ああ、私も高校の頃、あこがれましたねえ・・・ユキーデ!

実際、キックボクサーになってしまいました。

シーソンポップ戦ですが、ライト級のユキーデが2階級も上のムエタイの6位と戦うなんて、無茶過ぎます!

自分でやってみて分かります。

タイ、それもバンコクでファイトしている選手がどれほどスゴイか!

ましてやランカーでしょ?

あの試合、シーソンポップのパン(首相撲のことです)に、ユキーデは翻弄されましたね。

実際、タイ人に掴まれたら、何も出来ません。

投稿: M | 2010/06/27 21:30

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