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2006/08/22

捨て猫

 今日、生まれて初めて猫を捨てました。

 正確に言うと生まれて初めて猫を“殺した”のです。

 すっごい嫌な気分です。

 捨てた子猫は私の家の猫ではありません。

 ある高齢の一人暮らしのお婆さんが飼っていた猫が産んだ子猫なのです。

 お婆さんの家には2匹のメス猫が飼われているのですが、その猫が5匹の子猫を産んだのです。

 しかし訳があっておばあさんは猫を飼い続けることができません。

 子猫をどうにかしなくてはいけなくなりました。

 お婆さんは数奇な人生を歩んできた方で、人間に強い不信感を持っています。お婆さん曰く、「動物は嘘をつかない」ので唯一心を許せる存在なのだそうです。

 そんなお婆さんから子猫を引き離すのは容易なことではありません。

 猫を欲しがっている人が現れたので引き取ってもらうということにしました。

 つまりお婆さんに嘘をついたのです。

 お婆さんを騙して子猫を連れ出したのです。

 猫をいっぺんに5匹も引き取ってくれる人が、簡単に見つかるわけなんてありません。

 お婆さんは子猫との別れを悲しんで泣いていました。

 子猫が新しい飼い主に可愛がってもらえるだろうかと、心配していました。

 私は「猫を欲しがっている人が見つかってよかったね」と言って、お婆さんを慰めたのですが、凄まじい罪悪感に苛まれました。

 やさしい言葉を発しつつも、私は感情を押し殺して子猫をダンボール箱に詰め込みました。

 子猫の行く先は保健所です。

 たぶん数日間保健所であずかってもらっている間、里親が見つからなければ“処分”されることになるのでしょう。

 あたりまえのことですが、動物を飼うということには重い責任があります。

 動物も人間と一緒です。

 どんなに愛情を注ごうとも、責任ある飼い方が出来なくなればその人に動物を飼う資格は喪失してしまうのです。

 そして必ず訪れる『死』と正面から向き合わなければなりません。

 保健所に子猫を搬送したのは私ではありませんし、私が直接子猫を処分したわけでもありません。

 しかし私は子猫の行く末を知っていながら、平然とお婆さんに嘘をつき、お婆さんと子猫の絆を引き裂いてしまったのです。

 私が間接的に子猫を殺したことは事実なのです。

 私の反応は大げさ過ぎるのかもしれません。

 母親猫が避妊手術をしない限り、今後も今回と似たようなことが繰り返されるのは必至です。

 何回か今回のようなことを経験すれば、私は嫌な気分を感じなくなるのかもしれません。

 動物の死を平常心で受け入れられるようになるのかもしれません。

 だけど、それっていうのは普通の感覚なのでしょうか。

 段ボール箱から這い出そうとする子猫を、箱の奥に押し返した時のグニャリとした感触がいまだに掌に残っています。

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