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2006/09/03

病葉の法

 『さるまん』21世紀愛蔵版を購入しました。 90年代前半の作品なのに、マンガ界の本質を突いた内容は輝きを失っていませんね。 相原コージと竹熊健太郎が徐々に狂っていく展開、最後にはカタストロフィで締めくくるラストが大好きです。

 ちなみにこの漫画では、凄い忍法を紹介していました・・・・・

 Lesson19.“うけるエスパーまんがの描きかた”の章で紹介されていた〝病葉の法〟(わくらばのほう)という忍術のことです。

 あまりに衝撃的な忍法なので、脳裏に張り付いてしまい、いまだに忘れることができないです!

 解説によるとこの忍法は白土三平先生の『忍者武芸帳』に登場します。

 どんな忍法かといいますと、死体に化ける忍法なのです。

 しかし、死体への化け方が半端ではなく、術をしかける忍者は死なない程度に大怪我をしなくてはなりません。

 自分で自分の腕を切り落とすなんてのは当たり前。

 ヨガの原理で呼吸も止めてしまいます。

 後は狙った敵が油断して近づいてくるのを、ひたすら待ち続けるのです。

 一週間でも十日でも野原にジッと転がっているのだそうです。

 その間カラスに眼を突かれたり犬に臓物を喰われたりウジがわいたり、それはそれは壮絶な光景が繰り広げられます。

 それでも術者はジッと死体の真似をし続けるのです。

 そのまま本当に死ぬこともあるという危険な忍法とのことです。

 「病葉の法」っていう忍法の名前も素晴らしいですね。

 忍者まんがを読んでいていつも感じることは、忍術を表現する言葉が情感に溢れていることです。

 死体のふりをして、徐々に朽ちていく肉体を、「病葉」という単語で表すセンスが大好きです。

 言葉を大切にしていますよね。

 『さるまん』が秀でていたのは、病葉の法を引き合いに出しながら、忍者のおかれていた立場、忍者の価値観の根本を、ある言葉を用いて的確に表現していたことです。

 それは“超努力”という表現でした。

 不条理と感じながらも己の運命を受け入れなければならない忍者。

 敵を上回る為ならば、普通以上のことをやるのは当然だという割り切りの潔さ。

 『さるまん』によれば「理論に殉ずる男の美学」なのだそうです。

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